緑内障とは、目の奥にある視神経の細胞がダメージを受けて、少しずつ視野が狭くなっていく病気です。

日本人の失明原因の１位であり、40歳以上の20人に1人は緑内障だといわれています。

緑内障には、自覚症状がほとんどありません。

目の痛みや充血といった症状が出ないうえ、初期から失明寸前まで「見えない」と感じることもほとんどないのです。

眼圧との関係

目を閉じて、まぶたの上から指で目に触れると、意外に眼球は硬いことがわかります。

これは眼球の中心部から外側に向けて、眼圧がかかっているためです。

眼圧とは、眼球内の圧力のことをいいます。

一般的に、「眼圧が高いと緑内障になる」といわれています。

眼球の形を維持するための眼圧は、10～21㎜Hgが正常範囲とされていますが、実際には、緑内障の人の90％以上が正常範囲内の眼圧です。

大多数の人は、「視神経そのものが弱い」「血流が悪い」などのさまざまな要因から、緑内障を発症しているのです。

日本人は、特に「正常眼圧緑内障」が多いといわれています。

正常眼圧緑内障と診断された場合は、正常値であっても30％眼圧を下げることで、約80％の患者さんに、高い進行抑制効果が見られるといわれています。

高い眼圧が及ぼす影響

眼圧は、眼球内の毛様体で作られる「房水」という透明な液体によって決められます。

この眼圧によって、眼球の形を目が最も機能する状態に保っています。

血管のない角膜や水晶体などの目の前方部分には、房水が栄養を送っています。

房水の流れが悪くなりうまく排出されなくなると、眼球全体の眼圧が高まります。

この影響を受けるのが、「視神経乳頭」です。

視神経乳頭は、網膜に映った光の信号を束ね脳に伝える視神経のつなぎ目です。

中心部にはへこみがあり、そこから血管や視神経が出入りしています。

眼圧が高まることでへこみが大きくなると、緑内障になりやすくなります。

視神経乳頭は構造的に眼圧に弱く、圧迫されると視神経の血流が悪くなり、視神経が枯れて死んでしまうのです。

正常眼圧の人でも、視神経が弱く視神経乳頭のへこみが大きいと、緑内障につながる恐れがあります。

房水の流れが悪くなる原因の一つに、線維柱帯という部分の目詰まりがあります。

目詰まりによって房水が流れにくくなると、眼圧が高まり、緑内障になりやすくなります。

また、水晶体が大きくなって房水の通り道である隅角が狭くなると、房水が流れにくくなり、緑内障になる場合もあります。

予防・改善に役立つ栄養素

緑内障の予防や改善には、ビタミンが有効だとされています。

ビタミンAは、脂溶性ビタミンの一つです。

抗酸化作用によって、目の細胞や粘膜の新陳代謝を促す働きがあります。

新陳代謝が正常に保たれることで、網膜や角膜の細胞、角膜表面の粘膜などの健康が維持されます。

ビタミンB₁・B₂は、視神経を健全に守るために欠かせないビタミンです。

ビタミンB₃は、毛細血管を拡張して血流を保ち、目と視神経の間の血流を改善する働きがあります。

「ナイアシン」「ナイアシンアミド」などがこれに当たります。

また、ビタミンB₆は、視力調節をする毛様体筋の主成分である、タンパク質の吸収に不可欠な栄養素です。

ビタミンB群はビール酵母などに多いです。

利水薬

緑内障にみられる症状は、東洋医学では「水分代謝が悪い」と解釈されます。

房水の滞りを「利水薬」と呼ばれる漢方薬で取り除くことで、眼圧をさげていきます。

多くの利水薬には、腎臓に作用して、尿排泄を促進する働きがあります。

全身の水分代謝が改善されていくなかで、房水の代謝も改善されるのです。

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