腎臓
- 2025.01.23
- 腎機能の低下、透析中のだるさ
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CONSULTATION
私たちは、いろいろなものを飲食することにより栄養成分を体内に入れています。
さまざまな成分から必要なものや足りないものを摂り入れ、不必要なものや余分なものを排出します。それによりエネルギーを生み出し、体内の環境を一定に保っているのです。
こうした栄養成分の調整や、体内の恒常性の維持の仕事を行っているのが「腎臓」です。
そのため腎臓は「寿命を決める臓器」といわれています。
近年、腎機能が慢性的に低下する慢性腎臓病が急増しています。日本腎臓学会の報告によると、国内の患者数は約1330万人にのぼるとされており、この数字は成人のおよそ8人に1人にあたります。
東北大学名誉教授の上月正博先生曰く、慢性腎臓病の患者数の増加には、高齢化と生活習慣の変化が関係しているといわれています。腎機能は加齢とともに少しずつ低下するため、高齢者が増えれば慢性腎臓病の患者数も増えてきます。そこに糖尿病や高血圧、メタボリックシンドロームなどの生活習慣病の増加が加わることで、慢性腎臓病が増加しているのです。
腎臓は糸球体という毛細血管の塊でできています。表面にはタコ足細胞が絡みついており、血液をろ過する役割があります。通常、タンパク質などの体に必要な大きな分子はろ過されません。しかし、高血糖や高血圧の状態が続くと、タコ足細胞が糸球体から剥がれ落ちてしまいます。すると、本来ろ過されるタンパク質が尿中に漏れ出て、「タンパク尿」が生じます。
慢性腎臓病は早期発見が肝心です。腎臓の機能の低下が軽度であれば、適切な治療や食習慣の改善により、抑制や回復が望めます。腎機能の異常を早期発見するために自己チェックを行うようにしましょう。
例えば、尿の色・におい・量・回数などをチェックします。
腎機能が低下すると血尿が起こり、尿の色が赤褐色や茶褐色に変化することがあります。また、排尿回数が少なすぎたり多すぎたりする場合は、腎臓機能の低下が疑われます。尿が泡立つ場合は、タンパク尿のほか、水分不足や高血糖の可能性も考えられます。
靴や指輪がきついと感じる方は、腎機能低下によるむくみが起きているかもしれません。倦怠感や息切れも腎機能低下のサインです。そのほか、高血圧や高血糖、メタボリックシンドローム、慢性腎臓病の家族歴、喫煙も、慢性腎臓病の危険因子となります。一度確認してみてください。
腎機能がどの程度あるのかは、血清クレアチニン値・年齢・性別から算出する「eGFR」で判断します。 数値が100に近いほどに良いとされており、60未満になると慢性腎臓病が疑われます。 クレアチニンは筋肉の代謝過程でできる老廃物の一種で、通常は尿とともに排泄されています。しかし、腎機能が低下してくると、クレアチニンが十分に排泄されなくなり、血中に増えてしまいます。 男性の方が、女性より筋肉量が多いため、血中クレアチニン値が高めに出やすくなっています。 正常値は男性:0.61~1.04㎎/㎗ 女性:0.47~0.79㎎/㎗ 慢性腎臓病の進行度は、eGFRの数値によってG1~G5の6つのステージに分けられています。
慢性腎臓病の診断ではeGFRに加え尿検査も行われます。検査するのはタンパク尿とアルブミン尿の有無です。 尿タンパク専用の試験紙に尿を浸けて、色の変化を見て判定します。 検査結果は−(陰性)±(擬陽性)1+(陽性)、2+、3+までの5段階です。 タンパク尿は、風邪を引いた後や、ストレスを感じた時、運動後、疲労や睡眠不足、水分不足などでもみられることはありますが、1+や2+の場合は注意が必要です。 「±」以上の場合は、畜尿によってタンパク質やアルブミンの量を測る定量検査が行われます。 「尿検査の異常」もしくは「eGFRの数値が60未満」が3ヶ月以上続く場合、慢性腎臓病と診断されます。
アルブミン尿の検査は、腎臓のSOSを検知する項目です。 アルブミンはタンパク質の一種で、糸球体が傷んでいると早期に尿中へ漏れ出します。そのため、腎臓の機能を表す数値が正常でも、尿から微量のアルブミンが出ていれば、糖尿病性腎症の可能性が高くなります。
慢性腎臓病がステージG5の方や、高リン血症の方、人工透析治療を受けている方は、リンの摂取制限が必要です。 とはいえG1~G4の方でも、リンの過剰摂取には注意を払ったほうが良いでしょう。 リンは、肉、魚、卵、乳製品など、タンパク質の多い食材に含まれており、不足することはほとんどありません。しかし食品添加物由来の無機リンは有機リンよりも吸収されやすく、知らないうちに摂りすぎている人も少なくありません。 いま、食品添加物由来のリンは「老化加速物質」として問題視されています。
腎機能が低下すると、血液中のカルシウム濃度が低くなります。血液中のリンが過剰な状態でカルシウム濃度が低下すると、骨はカルシムが溶け出て脆くなります。 骨から抜け出たカルシウムは血液中のリンと結びつき、血管壁や軟骨、内臓など、骨でないところに沈着して石灰化し、動脈硬化などを引き起こします。 リンは、動脈硬化の最も重要な促進因子です。 血管石灰化による動脈硬化が進行してしまうと、現状ではよい治療法がありません。 リンを下げるリン吸着薬(炭酸カルシウム、炭カルナジェル)は胃の中で食物と混ざり、食物に含まれるリンをくっつけて、消化管でリンが吸収されるのを抑えます。
食事をすると、一時的に血糖値は上がりますが、インスリンの働きで再び下がっていきます。その下がるはずの血糖値が高いままの状態になっているのが、「食後高血糖」です。一般の健康診断では空腹時の血糖値を測定するため、食後の血糖値を確認することができません。そこで「HbA1c]という、直近1~2ヶ月における血糖値の平均の指標を使います。空腹時の血糖値は高くないのにHbA1cの値が高い場合は、食後高血糖の可能性があります。高血糖が続くと、腎臓の糸球体が傷つけられ、腎機能障害が起こります。食後の血糖値を上昇させないためには、まず野菜から食べる、「うどんとご飯」などの糖質重ねに注意する、欠食せず一日三食しっかりと摂る、早めに夕食を摂る、よく噛んでゆっくり食べる、などの点にきをつけましょう。よく噛むと、食べ物を消化する前からインスリンが分泌され、食後の血糖値上昇を抑えてくれます。
水溶性食物繊維には、納豆やオクラのようにネバネバとぬめりのあるものがあります。粘り気によって胃腸内をゆっくり移動するため、お腹が空きにくく、食べ過ぎを防ぐメリットもあります。納豆、オクラ、なめこ、モズクなど、ぬめりのある食材を副菜として取り入れましょう。一方、里芋や山芋などのイモ類もぬめり成分は含まれますが、糖質も多いため、摂る量は控えましょう。
なお、当店でも、こうした悩み相談のお客様は数多くいらしています。
薬剤師として、こうしたご相談をうけたまわります。 ぜひお問合せください。
株式会社人間医学社 代表取締役
平成16年薬科大学卒業 平成17年薬剤師免許取得