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老化とガン予防|月刊「人間医学」10月号より

2017年9月25日

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 先進国においてはガンの診断の平均寿命は70歳に近づきつつある。
 統計予測では2030年までにはガン患者の70%は65歳以上になるといわれている。
 米国ではガン患者数が2000年で1300万人だったのが、2050年にはその倍の2600万人に膨れ上がると予想されている。しかも、その年齢別でみると、この50年間で50歳以下のガン患者数は一切変化がない一方で、65歳以上のガン患者は2000年から2030年の30年間で倍増すると考えられている。
 白血病など一部の例外を除いては、多くのガンは若年者より高齢者に多いことはよく知られている。
 その理由としては、発ガン性物質に対して曝露時間がより長くなることとか、老化した個体の全身状態がガン発生の素地としてより好ましい可能性などがあげられている。だが、ここにきて「ガン化から個体を防御するために、通常細胞では老化が誘導される」という説が出てきた。
 つまり、老化とはガンを防ぐために存在する必要悪である、という考えである。
 ガンには良性と悪性とがあるが、良性のガンのマウスを調べると老化細胞がたくさんあり、悪性のガンにかかったマウスでは老化細胞が少ないことが明らかになっている。意図的に老化を誘導することによって、ガン細胞をブロックするシステムが備わっているのである。
 どういうことかというと、ガンになりそうな細胞ができると、防御システムとして細胞を老化に誘導してガンがそれ以上増殖しないようにしていることが分かったということだ。つまり、この防御機構が破綻すると悪性に進行してしまうのだろうと推測されている。
 ところで、細胞老化を誘導する遺伝子に「P53」というのがあるが、これにはガン抑制遺伝子という名前がついている。じっさい、P53が無いマウスの寿命は非常に短いことが確認されている。体の中にガンがいっぱいできてしまうからだ。
 体を守るためにも老化が必要だ、と語るのは近藤祥司博士(京都大学附属病院高齢者医療ユニット)である。ガンになりそうな細胞をわざと老化させて、それ以上、ガンが進まないようにするというトレードオフが行なわれるというのだ。
 一方を追求すれば他方を犠牲にせざるを得ない状態・関係のことをトレードオフという。
 正常細胞は分裂・増殖回数が有限であり、最終的に細胞は老化してしまう。ところが、ガン化した細胞は老化せずに増殖し続けるのが特徴だ。「老化を無くすのは絶対に無理ですし、老化を止めたいというのは生きるのを止めるということと同じです」と近藤博士は述べられている。
  
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