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不都合な物質|月刊「人間医学」9月号より

2019年8月25日

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 スーパーなどではレジ袋が有料化され、飲料水用のストローやマドラー、カップなども徐々に脱プラスチックの方向に進んでいる。
 テレビでは、マイクロプラスチックと呼ばれる小さなプラスチックの破片や粒が海に浮いている映像が映し出される。マイクロプラスチックは海に浮いているだけでなく、陸から遠く離れた海に棲む魚や貝の中からも見つかっており、生態系に与える影響も懸念されている。
 マイクロプラスチックには添加剤として様々な化学物質が含まれており、その中には有害なものもある。さらに海水中に存在するPCBなどの親油性の有害化学物質を吸着し、それらを生物体内に運び込むのではでないかと懸念されている。
 海洋に拡散したマイクロプラスチックの量は増加の一途をたどっており、海洋汚染の一端を担っている。マイクロプラスチックはもともとレジ袋、コンビニの弁当箱、ペットボトルの蓋、お菓子のパッケージなどのプラスチックゴミである。
 東京農工大学農学部環境資源科学科の高田秀重教授によれば、現在、全世界で年間四億トンのプラスチックが生産されているが、これだけの量を製造するには世界の年間石油産出量の8%が必要といわれる。このうちの半分、つまり年間石油産出量の4%がプラスチックの原材料として使われ、残り4%がプラスチックをつくるためのエネルギーとして消費されているというのだ。
 海洋を汚染しているプラスチックの大半は、我々が日常生活で使ってゴミになったプラスチックに由来している。それらは雨や風に運ばれて川に入り、最終的に海に流れ着き、やがて世界中の海に拡散していくのである。
 プラスチックはなかなか分解されず、軽くて水に浮いて運ばれる。海の表面を長く漂っているうちに紫外線や波の力で劣化して小さくなっていく。流れ着いた海岸では海面以上に高温になり分解が加速するため、5㎜以下のマイクロプラスチックが大量に発生する。 
 5㎜以下になると風の力を受けにくくなり、今度は海岸から沖合に運ばれやすくなるようだ。
 プラスチックをはじめ毎日の生活で利用されている化学物質の数は、じつに5万種類とも10万種類ともいわれている。我々は様々な化学物質による恩恵を受けていると同時に、その化学物質の濫用が生物や地球環境に無視できないダメージを与えていることは知っておくべきだろう。
 不都合な物質の多くは目に見えず、薄く広く拡がっていく。多くの人は温暖化が目につくからか、二酸化炭素の問題ばかりに目を向けているが、じつはもっともっと大きな問題が進行していることに気付くべきだと思う。
  
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