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果 物|月刊「人間医学」8月号より

2019年7月25日

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 厚生労働省は健康増進のために「1日に野菜を350g以上摂りましょう」と提唱している。その理由として「カリウム、食物繊維、抗酸化ビタミン(ビタミンCなど)の摂取には野菜寄与が高く、これらの栄養素の適量摂取には野菜350〜400gの摂取が必要と推定される」とある。
 ところで、東京大学大学院の佐々木敏教授が、西ヨーロッパにおける35〜74歳の男女の食事調査結果(1990年代後半)について紹介されている。それによると、イタリアでは1日あたり577g、スペインでは568gで、以下ギリシャ509g、ドイツ386g、イギリス322g、デンマーク320g、オランダ301g、スウェーデン258gの野菜・果物を摂取していたという。
 世界のコンセンサス(意見の一致、合意)は野菜と果物を合わせて1日およそ400gとされている。西ヨーロッパ8ヵ国では、すべての国で果物と野菜がほぼ同じくらいか、果物の方をたくさん食べているそうだ。
 では日本人はどうかというと、先の西ヨーロッパ諸国を含めて、最もたくさん野菜を食べていた民族は日本人で、果物の摂取量が最も少ないのも日本人だったのである。
 我国では果物の栄養評価が低いのか、日本語では「野菜と果物」と野菜が先にくるのに、英語では「フルーツ&ベジタブル」とフルーツが先に表現されている。それは食糧事情によるものか、食習慣によるものかは明らかではない。
 さて、欧米諸国での疫学研究によると、果物と野菜を食べる回数と総死亡率との関連が調べられたところ、果物と野菜の摂取量が増えるほど総死亡率が下がることが明らかになったのである。しかし、摂れば摂るほど下がるわけではなく、1日あたり5サービングくらいで下げ止まっている。ちなみに、1サービングとは野菜であれば77g、果物であれば80gとされている。したがって5サービングとは385〜400gに相当することになるわけだ。
 こうした研究結果をうけて、欧米諸国では果物と野菜を合わせて「1日に5サービング食べましょう」という呼びかけが行なわれている。
 日本人には果物はデザートという感覚が未だに強く、栄養になるという意識が薄いようだ。じっさい日本人の果物摂取量は減少傾向にあり、1980年は1日あたり155gだったのが、年々下降して2015年には108gにまで減少している。その間、野菜は少しずつ増加している。果物は果たして糖尿病につながるのか、という問題がある。研究結果からいうと、1日あたり250gまではリスクが下がり、その後、上昇に転じている。佐々木教授も「糖尿病を予防するためには果物を今の倍くらい食べる方がよさそうだ」と述べられている。血糖値の糖はブドウ糖であって、果糖ではないのである。

  
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