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本を読む|月刊「人間医学」1月号より(年頭の辞)

2018年12月25日

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 NHKが独自に開発した人工知能「AIひろし」が、日本が直面する課題の解決策を探るシリーズ第3回目は“健康寿命”だった。
 日本人の平均寿命は男性81・09歳、女性87・26歳。これに対して健康寿命は、男性72・14歳、女性74・79歳である。平均寿命から健康寿命を引いた約10年が寝たきりや介護が必要な状態となる。この約10年間にかかる医療費は生涯医療費の約半分に当たるそうで、この差が縮まれば、医療費、介護費は5兆円も抑えられるという試算も出ている。それだけに健康寿命を延ばすことが国をあげての大命題となっている。
 そこで今回、AIが分析を行なったのである。分析したデータは北海道から沖縄まで、65歳以上、延べ41万人の高齢者へのアンケート結果であった。600以上に及ぶ生活習慣や行動に関するアンケートをとり、それを10年以上追跡調査したもので、AIが人間には不可能な膨大な量の分析を行なったのである。
 圧倒的に健康寿命が長いのは山梨県と愛知県であるが、じつはなぜ山梨県民の健康寿命が長いのか、県の担当者にも分かっていなかった。
 そこで登場するのが「AIひろし」。分析方法は、まず1つ1つの質問に注目した。例えば「ジョギングが好き」という質問。これに「YES」と答えた人が、他の600の質問のどれに「YES」と答えたかを調べ、密接な関係があると判断した質問との間を線で結んでいった。この作業をくり返し、すべての質問の関係およそ18万通りを調べ上げたのである。そして関係が深い質問同士をできるだけ近くに配置した。こうしてこの複雑なネットワークをつくり上げた。
 このネットワークの中で専門家たちが1番驚いたのは、運動よりも食事よりも、健康要素につながる意外な行動とは「本や雑誌を読む」というものだった。
 例えば「野菜や果物を毎日2回以上食べる」という質問にヒモ付けされる設問を分析すると、健康要素=99、不健康要素=6がヒモ付いている。また「スポーツグループに週1回参加」には健康要素=39、不健康要素=0となった。ところが「本や雑誌を読む」は健康要素=119、不健康要素=0となって、食事や運動に比べても断トツであった。
 これを裏付ける例として出ていたのは、山梨県は人口10万人に対する図書館の数が全国1位。それに対し「運動・スポーツ実施率」は最下位という結果である。
 これらのデータをもって、健康寿命を延ばすには「本や雑誌を読む」ことだと結論づけることはできないにしても、AIは面白い結果を出すものだと思う。「まさかそんなことが」と訝る人も多かったと思うが、我々月刊誌をつくる側としては勇気づけられる結果だった。

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