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アルデヒド|月刊「人間医学」11月号より

2018年10月25日

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 ニトログリセリンという薬がある。狭心症の発作時の特効薬として有名なものだ。ノーベル賞の創始者アルフレッド・ノーベル博士がこれからダイナマイトを作ったことで知られている。
 冠状動脈が十分に血液を心臓に送れなくなった時、ニトログリセリンは冠状動脈を広げることで狭心症を治療する。素早く効かせるために舌の下に入れて、口の中で溶かして飲むよう指示される。
 ところで、このニトログリセリン、非常に効きやすい人とそうでない人がいる。それもお酒が飲める人は効きやすくて、お酒が飲めない人は効きにくいのである。
 ニトログリセリンはグリセリンを硝酸と硫酸の混酸で硝酸エステル化したものである。グリセリンはグリセロールともいい、アルコールの一種なのだ。
 アルコールは体内に入ると、アルコール脱水素酵素によって代謝されて中間代謝物のアルデヒドになる。これは悪酔いの原因物質とされている。このアルデヒドは通常は、さらにアルデヒド脱水素酵素によって酢酸へと代謝される。これだと問題は起こらない。
 ところが、アルデヒド脱水素酵素には遺伝子多型があり、それによってアルコールを代謝する能力に差が出る。日本人が欧米人に比べてアルコールに弱いのも、そこらへんに問題があるようだ。
 さて、薬には、飲んだ薬がそのまま効果を発揮するもとと、飲んだ薬が体の中で代謝されて初めて効果を発揮するものとがある。後者のタイプをプロドラッグと呼ぶが、ニトログリセリンもプロドラッグの一つである。
 じつはニトログリセリンを代謝する酵素と、悪酔いの原因であるアルデヒドを代謝するアルデヒド脱水素酵素は同じものである。これはニトログリセリンとアルデヒドの構造が一部似ているからと考えられている。つまり、ここにニトログリセリンが効きやすい人と、効きにくい人がいる理由がある。
 アルデヒドの問題はアルコールの解毒や、ニトログリセリンの効き方に関わるだけではない。もっと大きな問題がある。脂質、つまりアブラの問題だ。
 脂質は活性酸素種の影響を受けやすく、脂質過酸化反応を受けることによりアルデヒドなどの化学物質が生成されることが知られている。加齢臭の原因物質として有名なヒドロキシノネナールも、脂質が酸化反応を受けて生成されるアルデヒドの一種なのである。
 こうしてできるアルデヒドの中には反応性の高いものが多く、タンパク質などに対してさらに反応することにより、タンパク質の機能を無くしてしまう。またタンパク質は体の構造物の一つだから、それにも影響を与えてしまうのである。

  
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