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腎臓と寿命|月刊「人間医学」11月号より

2017年10月25日

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 「腎臓が寿命を決める」という大胆なタイトルで始まったNHKスペシャル・シリーズで人体神秘の巨大ネットワークは、これまであまり注目されなかった腎臓と寿命との関係を、コンピュータ・グラフィックスなどの最新の映像技術を使って紹介していた。
 漢方の世界では“腎虚”という基本的な考え方があり、腎と老化の関係を重視しているが、現代医学はこれまであまりそのことに注目してこなかったように思う。 
 番組では血中リン濃度と寿命との関係をグラフを使って図示していた。そこではリン濃度が高い動物ほど寿命が短いことがグラフからも明らかに読みとれた。
 じつは番組では紹介していなかったが、自治医科大学の黒尾誠教授は、人間の寿命についても同様の傾向がみられ、血中リン濃度が低めの人のほうが死亡率がずっと低いことを報告されている。
 リンはほとんど全ての食品に多かれ少なかれ含まれているので、普通の食生活をしていれば不足することはないが、食品添加物や保存料に大量に含まれているため、現代の日本人はむしろ摂り過ぎが問題になるのである。
 では、どうすれば余分なリンを体外に排泄できるのだろうか。そこで登場してきたのがクロトー遺伝子だ。クロトー遺伝子は遺伝子操作技術を使って高血圧のモデルマウスをつくろうとした実験の副産物としてたまたま見出されたものである。
 クロトー遺伝子は、主に腎臓と脳で働くことがわかっており、クロトー遺伝子が欠損したマウスでは早老症候群に似た状況となり、逆に、この遺伝子が過剰発現したマウスは寿命が延びることがわかった。こうしたことから、クロトー遺伝子は老化抑制遺伝子であると結論づけられたのである。
 ところで、骨から分泌されるホルモンにFGF23というものがあり、血中を流れて腎臓に到達すると腎臓に「尿中にリンを排泄せよ」という命令を下す。その時、FGF23が標的臓器に命令を下すにはFGF受容体とクロトー蛋白との複合体が必要とされるのである。
 こういうことだ。骨が体の中のリンの量を察知してリンが過剰になると、骨からFGF23が分泌され、腎臓に命令して体の中のリンを下げようとするのである。
 クロトー遺伝子の発見は、慢性の腎臓病があると老化抑制遺伝子が少なくなるため老化が抑えられず、高齢者に多い心血管系の病気が起りやすくなる、との考えが生まれた。じっさいクロトー遺伝子が欠けると余分なリンを尿中に排泄できなくなる。結果、リンが体内に蓄積し、動脈硬化、骨粗鬆症、認知症、聴力の低下、性機能の低下、老人肺、皮膚や筋肉の萎縮などを引き起こしてくるのである。
  
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