人間医学社は大阪駅、梅田駅の徒歩すぐの所にある健康食品の販売店です。お気軽にお立ち寄りください!

06-6372-0441
受付時間:9:00〜18:30 ※日祝のぞく
form

月刊誌「人間医学」ピックアップ記事

だしの旨味|月刊「人間医学」11月号より

2015年10月25日

9若い時はやれ焼肉だ、焼鳥だ、串カツだとコッテリ系を好んでいた人も、だんだん年を重ねるにつれて和食の美味しさが分かってくる。
 昆布だし、鰹節だしなどを旨いと感じるようになるのは、昆布だしのグルタミン酸、鰹節だしのイノシン酸といった成分を体が必要とするからである。
 人間も含めて動物は、体が必要とするものを「旨い」と感じることによって摂取を促し、それによって生き残ってきたのである。
 昆布と鰹節でとった合わせだしなどは日本独特の食文化だと思う。
 大阪大学の小倉明彦教授によると、グルタミン酸やイノシン酸といったアミノ酸やヌクレオチド(核酸の構成単位)は旨味センサー細胞を活性化することで、旨味として感じることができる、と述べられている。これらの物質がセンサー細胞のT1R1‐T1R3二量体という分子に結合するのだが、それぞれが結合する場所が異なることによって活性度がさらにアップするのだと説明されている。
 鰹は回遊魚で、常に高速で泳いでいる。それだけにエネルギー産生能力が高いことが要求される。
 それは鰹やマグロには筋肉中にイミダゾールジペプチドであるアンセリンが多量に含まれていることに関係してくる。激しい運動に伴って発生する水素イオンや乳酸を消去することで、それらの蓄積を抑えているということだ。
 それだけではない。鰹の筋肉はエネルギー源であるATPを大量に蓄えている。鰹をとってしばらくおいておくと、ATP(アデノシン三リン酸)はADP(アデノシン二リン酸)に、そしてADPはAMP(アデノシン一リン酸)へと分解されていく。この時、アデニンデアミラナーゼという酵素がともに働くと、ATPはITPに、ADPはIDPに、そしてAMPはIMPになる。このIMPこそイノシン酸なのである。
 つまりATPを大量に蓄える魚ほどイノシン酸も多いことになる。高速で泳ぎまわる回遊魚の干物がいいだしを出すのはこうした理由によるわけだ。
 じっとしていることの多いタイやヒラメは干物にしてもあまりいいだしが出にくいと考えられる。
 小さい時からインスタントだしではなく、鰹や昆布でとっただしを食べさせていると、旨味をよく感じるようになる。そうすると成人してからも自分に必要な食べ物が何かを、知識ではなく、舌や鼻で分かるようになる。ところが、旨味が小さい時に鍛えられなかった場合は、成人してからも自分に必要な食べ物は何かが分からなくて、ただ刺激が強いもの、見た目の感じ、カロリーの高いものばかりが欲しくなってしまうだろう。
定価260円 送料70円 ・1年間購読3120円(税込送料込)
詳しくは06-6372-0441へ