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認 知 症|月刊「人間医学」6月号より

2019年5月25日

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 イギリスの社会心理学者トム・キットウッドは「認知症は社会的・心理的病気であり、その人の置かれている心理的環境が原因である」と述べている。この考えを紹介されているのは竹内孝仁・国際医療福祉大学大学院教授だ。
 竹内教授については以前にも紹介したことがあるが、その時も今も『水、排泄、食事、運動』の4つの基本ケアは認知症の予防と改善に必須であると主張されている。
 現在の認知症の認識は、海馬や前頭葉といった特定の部位に支障が起きるという“局在論”的発想から脱していないというのだ。
 認知症は記憶障害であるとの見方が現在の主流であるのに対し、竹内教授は、正しい認知ができなくなる認知障害であるという考えだ。人に対する認知障害、物に対する認知障害、時間に対する認知障害、場に対する認知障害が起きており、自分はどう振るまえばいいかがわからなくなっている状態だというのである。
 現在、認知症治療薬のメインとなっているドネペジル(アリセプト)にしても、2008年にはイギリスの保健省が「ドネペジルには効果がないため二年以上の服用は認めない」と発表して大騒ぎになったことをとりあげ、認知症薬は役に立たないと断じている。
 むしろ認知症の症状に目を向けたケアに全力を注ぐべきだ、と主張されている。中でも認知症予防として次の四つをあげられている。①1日1500ccの水分補給、②便秘の解消、③肥満にならない、痩せすぎない食生活、④適度な運動。
 「認知症改善は水にはじまり、水に終わるといっても過言ではない」と、水分補給をもっとも重視されている。年をとると若い人と比べて脱水を起こす確率がぐんと上がる。その原因の一つとして、若い頃より筋肉が落ちていることをあげられている。筋肉は体の組織の中でもっとも水分を蓄えているのだが、筋肉が萎縮したり、脂肪におきかわったりすることで、体内に水分をストックしておく貯蔵庫が減ってしまうからである。
 また、ノドの渇きを感じにくくなることも関係する。水を飲みすぎるとオシッコに行きたくなるとか、夜間頻尿になって睡眠不足になりはしないか、といった不安から水を制限しがちとなる。むしろ、しっかり水分を補給することで意識が覚醒することになり、注意や興味、関心も高まりを見せるようになって治癒への道が開けてくるといわれている。
 これまで多くの家族と認知症の人をみられてきた経験から、竹内教授は次のような例をあげられている。単純な物忘れを重大に考えすぎて、家族が病院に連れていくと、そこであっさり認知症と診断され薬を処方されてしまう。こうした現状をふまえ「日本の先進医療の致命的な欠点は、すべてを薬に頼ろうとすることにある」と警鐘を鳴らされているのである。
  
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