人間医学社は大阪駅、梅田駅の徒歩すぐの所にある健康食品の販売店です。お気軽にお立ち寄りください!

06-6372-0441
受付時間:9:00〜18:30 ※日祝のぞく
form

月刊誌「人間医学」ピックアップ記事

UMAMI|月刊「人間医学」5月号より

2019年4月25日

9
 味には五味があるという。すなわち甘味、塩味、酸味、苦味、そしてうま味の五つである。
 なかでもうま味は日本で生まれた味の概念で、「UMAMI」として世界に通用する国際語となっている。うま味成分には以下の三種類がある。すなわち、昆布やチーズ、生ハム、野菜など多くの食材に含まれるグルタミン酸、そして肉や魚などに多いイノシン酸、さらに干し椎茸や海苔などに含まれるグアニル酸だ。
 うま味成分として初めて同定されたのが昆布だしのグルタミン酸である。グルタミン酸は神経伝達物質の一つで、グルタミン酸受容体を介して神経伝達が行なわれる。興奮性の伝達物質として記憶・学習などの高次脳機能に重要な役割を果たしている。
 ところで、植物には動物と違って神経がないのが特徴であるが、それでも局所的に受けた刺激、たとえば病原菌の侵入などの情報を全身に伝えている節がある。では、植物はどのようにして情報を全身に伝えているのだろうか。2018年にこれに関する発見が報告された。
 それは、害虫からの食害や風による傷など局所的に受けた傷害の情報を、植物全身に伝えるためのシグナル伝達にグルタミン酸が関わっている、という発見だった。具体的には植物の細胞が傷害を受けると、傷ついた細胞からグルタミン酸が流れ出す。このグルタミン酸が師管(光合成でつくった養分を運ぶ管)などに発現しているグルタミン酸受容体を活性化し、カルシウムイオン(Ca2+)シグナルを発生させ、これが全身に伝わっていくというものだ。グルタミン酸の受容からCa2+ シグナル発生という流れは、動物の神経における興奮の伝達とよく似た仕組みといえる。
 グルタミン酸は脳にもっとも多く存在するアミノ酸で、脳が必要とするグルタミン酸は脳の中でグルコース(ブドウ糖)から独自につくられている。なんと一時間に700gのグルタミン酸を生成し、同量のグルタミン酸が分解されていることが知られている。
 では、食べ物として摂取したグルタミン酸はどこに行くのだろうか。ほとんど全てが腸のエネルギー源に使われ、さらに肝臓では他のアミノ酸の生合成にも使われているようだ。
 舌で受け取ったうま味情報が脳に伝わることで、体内ではタンパク質を消化するための準備、すなわち唾液、胃液、膵液などの分泌が始まる。うま味はタンパク質の消化を促す大事なシグナルの役割をしている。 
 グルタミン酸は非必須アミノ酸の一つだが、その働きはじつに多彩だ。だからこそ、我々はそれをうま味として感じ、積極的に摂るよう仕向けられているのだろう。
  
定価260円 送料70円 ・1年間購読3120円(税込送料込)
詳しくは06-6372-0441へ