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炭酸ガス|月刊「人間医学」4月号より

2018年3月25日

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 神経質な人、不安症の傾向のある人、緊張しやすい人などに起こる症状に過換気症候群というのがある。
 精神的不安や極度の緊張などにより過呼吸の状態となり、血液が正常よりもアルカリ性となることで様々な症状をもたらす状態とされている。
 現代社会では周囲の人との関係や、ストレスの多い学校生活などにより、過度の精神的緊張を強いられることが多い。とくに几帳面で神経質な人では、時としてパニック症状を引き起こすことがあり、息を何回も激しく吸ったり吐いたりする状態になると、血液中の炭酸ガス濃度が低くなり、呼吸中枢により呼吸が抑制され、呼吸ができないとか息苦しさを感じるといった症状を呈することがある。
 治療としては意識的に呼吸を遅くしたり、呼吸を止めることで症状は改善される。発作が起こった時には紙袋を口にあてて、いったん吐いた息を再度吸わせることで血液中の炭酸ガス濃度を上昇させる方法(ペーパーバック法)が採られる。
 今では知っている人もほとんどいなくなったが、昭和天皇が腸の手術を受けられた後(一九八七年九月)、ご病態が重くなられた時、その危機を救ったのが炭酸ガスであった。腹部手術では横隔膜が圧迫され、術後も肺はしぼみ加減となり、横隔膜を動かす筋肉も弱っている。咳はもちろん、深呼吸もままならない。すなわち無気肺状態に陥られた。血中酸素濃度は四八㎜Hgしかなかったそうだ。医師団はあらゆる努力をされたが、その際、非常に効果をあげたのが炭酸ガスの吸入だった。ご容体は酸素不足だが、治療は炭酸ガスの吸入だった。
 昭和天皇の肺は炭酸ガスが不足していたために、必要な組織に酸素が供給できなかったようだ。炭酸ガスがないと酸素はヘモグロビンと結合したままになり、各組織・細胞に行き届かないからである。
 ところで、筋肉を働かせると細胞内で好気的代謝によって炭酸ガスが発生する。それは輸送体の作用などによって血液中に放出され、水素イオンおよび炭酸水素イオンを生み出す。こうしてペーハー(pH)が下がって酸性になると、ヘモグロビンは酸素を離しやすくなる。逆に、肺では呼吸によって炭酸ガスが呼出されるので、ヘモグロビンは酸素と離れにくくなる。これらの性質はポーア効果と呼ばれている。
 本誌ではしばしば口呼吸の害を紹介しているが、それは扁桃腺への負担だけでなく、口呼吸は炭酸ガスが排出されやすいという問題があるからである。
 最近、若い人達のあいだで炭酸水が流行っているが、生理的欲求がそうさせているのかもしれない。
   
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