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対等な関係|月刊「人間医学」2月号より

2017年1月25日

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 急逝された安保徹先生の講演は多くの聴衆の心をひきつけたが、最近ではその講演の大半をミトコンドリアの説明に割かれていた。それほどにミトコンドリアの働きは先生の興味をひくものだったのだろう。
 ミトコンドリアは生物が核をもつ生物へと進化するきっかけをつくったと考えられている。すなわち原核生物である古細菌に、同じ原核生物である真正細菌(ミトコンドリアの祖先)が入り、やがて核をもった真核生物へと進化していったというわけである。
 精子が卵子の中に入るように、ミトコンドリアと、それを受け入れた別の生物との対等の関係のなかから、核をもった真核生物への進化が行なわれたと考えられている。
 対等な関係というのは共生関係とも違う。共生関係には互いに助け合うという意味合いがあるが、対等な関係というのは自分勝手な者どうしが、お互いに損することなく、得するような仕組みをつくりあげているといった関係なのだろう。
 植物と昆虫との関係について述べる稲垣栄洋氏は次のように説明される。
 「自然界の生き物は助け合うようなことはしない。花もハチも利己的に、自分の都合の良いように振る舞っているだけである」。
 昆虫は植物から蜜や花粉をもらい、代わりに植物は昆虫に花粉を運んでもらう。なかでもハチは植物にとって最良のパートナーである。ハチの仲間は頭が良く、しかも働き者である。花の色や形を認識して、同じ種類の花を飛び回る。これは植物にとってはとても都合が良い。そのため植物の花はハチを呼び寄せようと必死で、花を美しく装飾し、たっぷりの蜜を用意してハチを誘うとされている。
 細胞内には無数のミトコンドリアがひしめき合い、ダイナミックに動きまわっている。そうしてエネルギー通過ともいうべきATPをつくっている。そのATPを使って基礎代謝に、壊れたタンパク質や遺伝子の修復などにあてている。すなわち、生きていくためにはミトコンドリアがつくり出すATPが欠かせないのである。
 しかし、ミトコンドリアはその活動に必要なタンパク質はミトコンドリア自身のDNAだけでつくり出すことはできず、核のDNAがつくったタンパク質を使わせてもらっている。
 ミトコンドリアと、それを受け入れた別の生物との対等な関係のなかから、ミトコンドリアは遺伝情報の機能を捨て、代謝の役割を担い、入り込まれたほうは代謝の機能を捨てて、遺伝情報の役割を担うようになっていったのだろう。
 生物界の仕組みは人間社会のあり方にも通じるはずである。なにしろ人間は生物の一員であるからだ。
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