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女性とアルツハイマー病|月刊「人間医学」11月号より

2016年10月25日

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 女性は男性よりもアルツハイマー病を発症する率が二倍ほど高いことが分かっている。アルツハイマー病の99%以上を占めるのは孤発性アルツハイマー病で、誰もが高齢になると発症する可能性があると考えられている。
 なるほど女性は男性よりも平均的にいって長生きだから、アルツハイマー病になる率も高いのだろうが、男性の二倍も発症するのは、そのことだけでは説明できない。
 この大きな差を説明するものとして有力視されているのが、性ホルモンの違いである。性ホルモン(男性ホルモンと女性ホルモン)は加齢とともに低下するが、女性は男性と違って、閉経後、急激に低下する。このことがアルツハイマー病のリスクにつながるという考えだ。
 性ホルモンの働きは色々とあるが、アルツハイマー病との関連でいえば、アミロイドβ分解酵素であるネプリライシンの発現を上昇させる働きが関係しているのではないかと考えられている。
 そもそもアミロイドβは膜タンパク質APP(神経細胞で産生される)から切り出されてできる断片の一つである。このアミロイドβが神経細胞の周りに蓄積して老人斑になる。それが神経細胞にダメージを与え、……というストーリーがアミロイド仮説だ。現在、もっとも有力な仮説と考えられている。
 この考えが正しいとすれば、アミロイドβの蓄積を防ぐことがアルツハイマー病の予防と治療にとって大きな意味をもつことになる。もともとアミロイドβは誰の脳にもできるゴミのようなものだ。若く正常な脳では速やかに分解されるが、加齢とともに、その産生速度と分解速度のバランスが崩れてくる。代謝というものは加齢によって低下するものだから、アミロイドβの産生が亢進するとは考えにくい。つまり分解速度が加齢とともに遅くなってゴミがたまってくると考えられるのである。
 こうした状況からアミロイドβの分解を担うネプリライシンに関心が集まっている。ネプリライシンの活性化はソマトスタチンというペプチドがソマトスタチン受容体に結合することで作動することが明らかになったことから、ソマトスタチンが注目されることになった。ソマトスタチンは膵臓のδ細胞から分泌されるホルモンで、インスリンの分泌を制御する働きがある。インスリンについては、これを分解する酵素がネプリライシンと同様にアミロイドβも分解する働きを有していることが明らかになっている。
 インスリンの過剰分泌は膵臓を疲弊させるだけでなく、インスリンの分解に追われ、アミロイドβの分解にまで手が回らなくなることが予想されるのである。女性は甘い物が好物なところがある。それがアルツハイマー病にも関係しているのかもしれない。 
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