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高齢者と降圧薬|月刊「人間医学」10月号より

2016年9月25日

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 リオ・オリンピックは日本人選手の活躍などで大いに盛りあがったが、一方でロシア選手団のドーピング問題が暗い影を落とした大会でもあった。
 『降圧薬の真実』を著した石川太郎氏は「薬を使って血圧を下げるということは、言ってみればドーピングをしてまで血圧を下げるということです」と述べている。
 ドーピングは運動能力を向上させるために、薬物を使用したり、物理的方法を採ること、及びそれらを隠蔽したりする行為、とされている。それが禁止されるのは、フェアプレイの精神に反し、スポーツの価値を損なうと考えられるからである。かてて加えて使用者の心身に悪影響を与える副作用があることから、競技者の安全や健康を守るためでもある。
 ところで、降圧薬の添付文書には「高齢者では一般に過度の降圧は好ましくないとされている(脳梗塞などが起こるおそれがある)ので、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること」と明記されている。 
 ところが、現実にはどうだろうか。多くの高齢者が医師の処方されるままに低い血圧であっても、服用しつづけていることが多いのではないかと思う。「先生、血圧が安定しているから、飲まなくてもいいでしょうか?」と尋ねようものなら「それはこの薬を飲んでいるから安定しているんであって、飲まなきゃ、また上がるよ。そうならないためにも飲みつづけなさい」と返ってくる。こういった話をしばしば耳にする。
 高血圧治療ガイドライン2012によると、後期高齢者の場合、至適血圧(収縮期血圧120㎜Hg 未満かつ拡張期血圧80㎜Hg 未満)の人よりも正常血圧(収縮期血圧120〜129㎜Hg かつ、または拡張期血圧が80〜84㎜Hg )の人のほうが心血管病による死亡リスクが低いことが統計で示されている。
 石川氏はカルデサルタンという国内でよく使われる降圧薬で血圧を下げた場合、75歳以上の方の心血管病発症リスクは、正常血圧のリスクを一とすると、収縮期血圧120㎜Hg 未満では3.40、収縮期血圧160㎜Hg 以上では2.90という結果が出たことを紹介されている。つまり75歳以上の人が薬を使って収縮期血圧を120㎜Hg未満に下げることは、むしろ害になるというのだ。
 拡張期血圧についても、2013年発行の論文によると45歳以上の病院患者のデータでは、拡張期血圧が75㎜Hg 以下になると、低くなるにしたがって死亡リスクが高くなることが統計的に示されている。拡張期血圧が低すぎると心臓の発作、脳卒中のリスクが高まるからである。脳血管疾患を抑える目的で飲んでいる降圧薬が原因で脳梗塞になったとしたら、たまったものではない。
 
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