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努力|月刊「人間医学」6月号より

2016年5月25日

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 「努力は必ず報われる」「努力に勝る天才なし」… 努力にまつわる名言、格言は数多くあるが、人によってはまったく努力には興味がないというか、努力することがとても苦手な人がいる。
 努力して社会的に成功した人は、努力しない人をみて気合が足りないとか、根性がないと面と向かって言うことはないにしても、心の中ではそのように思っているふしがある。しかし、いくつかの研究から、努力できることは生まれつきの才能であることが分かってきた。中野信子さんの著書に次のような実験が紹介されていた。
 25人の被験者に利き手ではないほうの手の小指を使って21秒間に100回ボタンを押す、という単調な作業を課したのである。この苦痛な作業をつづけ、その時に起こる脳の変化をPETスキャンを使ってモニタリングしたのだ。被験者には作業をやり遂げた場合には報酬が与えられることが告げられていた。だが、想像以上に苦痛な作業のため、最後まで懸命にやり切る人と、途中で投げ出すかズルをする人の両者にわかれたそうである。
 両者の脳の働きを見比べると、努力できる人は線条体や腹内側部が「これをやったら報酬が得られる」といった報酬予測の機能がよく働くことで、脳内で多くの快楽を得ていることが分かった。それが努力をすることの推進力になっていたと解釈されたのである。
 では、努力できない人はどうかというと、そういった報酬予測の機能があまり働かないかわりに、ものごとの損得勘定を計算する島皮質が働くことにより「そんな努力をつづけても損じゃないの」「ムダだからやめよう」といったブレーキがかかっていることが分かった。つまり、努力できるかできないかは、本人の頑張りというよりも、脳の構造の違いによるところが大きいことが分かったのである。
 優れた音楽家と普通の音楽家のあいだで何が違うのかを調べた研究では、ある項目が大きく違っていた。それは練習時間である。研究チームはその調査から「優れた音楽家は技能を獲得するために必要な長時間の練習ができるよう、あらかじめ遺伝子にプログラムされている」と結論づけたのである。
 これまで優れた音楽家になるには音楽の才能に加えて多大な努力が必要だと考えられていたが、じつはその努力すること自体が生まれもっての才能によるところが大きいということなのだ。それは中野さんが言うように努力遺伝子を持った人なのかもしれない。努力できないからといって自己嫌悪に陥る必要はないのだ。それはダメ人間だからではなく、脳の構造がたまたまそうなっているからだと割り切ったほうがよい。
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